ケイオウザクラ ( (Prunus×subhirtella Niq. cv. Keiou-zakura) )
系統番号 175
この桜の作出、命名については多くの説がある。福岡県の花卉専門技術員、箕田氏によると、昭和5年、福岡県久留米市の吉永啓太郎氏と言う人が「シナミザクラ(支那実桜)」(41ページ参照)を台にして「ヒガンザクラ(彼岸桜)」(32ページ参照)を接ぎ木したところ、枝変わりが生まれ、同じ久留米市の花卉研究家、弥永太郎氏が、これに作出者の名を取り、「ケイタロウザクラ・啓太郎桜」と命名したという。一方、兵庫県宝塚市の大和農園園主、椙山氏が、この桜の種子をまき、実生選抜したもので、自社の販売カタログに、吉永啓太郎翁を敬う意味で「ケイオウザクラ(敬翁桜)」と名を付け販売をしたが、昭和20年以後中部地方の苗木ブローカーに渡り、切花用新品種として愛知、静岡方面で「ケイオウザクラ(敬翁桜)」または「トウカイザクラ(東海桜)」(56ページ参照)「ガクナンザクラ(岳南桜)」(19ページ参照)の名で売られ、広まったといわれる。以上の説が正しければ、久留米市と宝塚市で生まれたものは別のものと考えたい。 久留米で生まれた「啓太郎桜」は、関西で今も切花として「ケイオウザクラ(啓翁桜)Prunus Keio-zakura Ohwi cv. Keio-zakura」の名で知られる。一方宝塚市で実生から生まれた「ケイオウザクラ(敬翁桜)」は、「東海桜」「岳南桜」などの名でも広がった。今も多くの人が混同している桜である。
樹高:亜高木低木 芽の色:茶芽赤茶芽 葉縁鋸歯(裂片)の形:重鋸歯単鋸歯 葉縁鋸歯の先端の形:鋭形 成葉の裏側の色:淡緑色 成葉の裏面の毛の有無:少し多い 成葉の表面の毛の有無:少し 成葉の形:楕円形 葉柄の毛の有無:多い 開花期:3月中旬3月下旬 開花期の展葉度:開花後 花色:淡紅色 蕾の色:淡紅色 花の咲き方:一重咲 花弁の枚数:5枚 花の大きさ:小輪(1.5-2.5cm以下) 花弁の形:楕円形長楕円形 雌ずいの数:1本 雌ずいの葉化:無し 雌ずいと雄ずいの長さ:♂より短い 雌ずい(花柱)の毛:無し 花序の形:散形状 一総の花数:23 花柄の長さ:短い0.3cm以下 小花柄の長さ:短い1.1-1.5cm 小花柄の太さ:中位 小花柄の毛:有り 花の香り:有り(弱い) 実(結実性):有り(少し) 咢筒の形:ろーと状壺形 咢片の形:三角形菱状三角形 副咢の有無:無し 病害虫に対する抵抗性:有り